先般、顧問先から公益通報者保護法に関する研修の依頼を受けました。今年の6月より改正施行された法律ですが、労基法等と関連してお話したいと思います。労基法では労基法に違反する事実がある場合には、行政官庁または労働基準監督官に申告でき(104条1項)、申告したことを理由とする不利益取扱いの禁止(104条2項)の規定があります。
もちろん、この規定を使って申告することもできますが、公益通報者保護法を使って内部通報することもできます。労働局や労基署には公益通報相談窓口が設置されています(2号通報といいます)。こちらの法律は労働者だけでなく、退職後1年以内の労働者や役員も通報でき、不利益取扱いの保護の対象となっています。もちろん、行政機関だけでなく、報道機関にも通報可能(3号通報といいます)ですが、マスコミ等に通報する場合は要件が厳しくなっています。
この法律で最も重要なことは、301人以上の企業は内部通報に対応する体制の整備が義務付けられたことです。特に通報窓口の担当者は、調査・是正に加えて守秘義務(刑罰あり)が課されるため、この法律並びに指針を理解し適切に対応することが求められます。当然、研修も行わなければならないでしょう。
ただ、この法律の管轄が消費者庁であったり、通報者が役員の場合は会社法も絡んできます。条文もわかりにくいし、指針もシンプルなので会社で判断する事項が多く、準備に結構大変ですが、これからこのような案件の相談や研修も増えてくるかもしれません。もう随分前ですが、豚肉の偽装表示の事件がありました。顧問先がその取引先の一つで、その当時、社員研修をしたことを思い出します。