ぬきば労務コンサルティング

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社労士受験生 2020年4月29日

民法の時効の改正について

今日から、労基法の時効の改正についてお話しします。少し長くなるので何回かに分けて解説します。まず、今回は民法の改正について触れたいと思います。民法一部改正法により、消滅時効の期間の統一など時効に関する規定が整備され令和2年4月1にから施行されています。

改正前の民法では消滅時効は、①職業別の短期消滅時効のうち、使用人の給料などは1年、②一般債権については権利を行使することができる時(客観的起算点)から10年としていました。①の短期消滅時効が設定された趣旨は、日常頻繁に生じる、通常額も多くない、などを踏まえ、短期の消滅時効を設けて法律関係を確定し、紛争の発生を防ぐ必要があったからです。しかし、現代では合理性に乏しくなっため、短期消滅時効の規定を廃止し時効期間の統一化と簡素化を図ったのです。

しかし、短期消滅時効を廃止した結果、単純に消滅時効期間が10年となると、弁済の証拠保存のための費用が増加するといった懸念があるため、権利を行使することができることを知った時(主観的起算点)から5年の消滅時効を新設しました。つまり、職業別の短期消滅時効は廃止し、一般債権については①債権者が権利を行使することを知った時から5年間行使しないとき、②権利を行使することができる時から10年間行使しないときに時効によって消滅するとし、①②のいずれか早い方の経過によって時効は完成することになります。

具体例で考えてみましょう。例えば売買契約を例にすると、代金の支払い期限到来時が起算点になります。この場合、権利を行使することができる時(客観的起算点)と、権利を行使することができることを知った時(主観的起算点)は同一になります。このようなケースでは知った時から5年で債権の時効は消滅します。

それでは、起算点が異なるケースについて考えてみます。例えばカードローンの過払金(不当利得)の返還請求権です。取引終了時が権利を行使することができる時になります。ところが、この時点で過払金があることは知りませんでした。その後TVのCMを見て弁護士に相談したところ、過払い金があることを知ったとします。これが主観的起算点です。このような場合、権利を行使することができる時から10年か、知った時から5年かいずれか早い方で消滅時効が完成します。

すでにある程度の科目の学習を終えた方は「ピン」とくると思うのですが、今回、労働法や社会保険法の時効に関して改正がありました。それは「・・・権利は、これを行使することができる時から」という起算点が条文に追加になったという改正です。改正前はこの文言が入っていませんでした。これは起算点については解釈・運用で行っていたためです。今般その解釈を踏襲するため、従来通りの客観的起算点を維持し、これを法律で明確に規定したのです。しかも労基法以外は消滅時効の期間も変更されていません。テキストを読むときには「・・・権利は、これを行使することができる時から」という客観的起算点が追加になったけれど、今までと起算点は同じだと思って下さい。ただし、労基法については期間が変更されましたので、要注意です。

次回は労基法の消滅時効の期間の改正点と改正の背景についてお話しします。